北京オリンピック:中国サプライヤーでの権利侵害に対しIOCの行動を求む
2007/06/11 Monday 00:00:00 CEST
Image中国の工場における深刻な権利侵害について詳細に述べた報告書が発表されました

ロンドン開催の国際オリンピック委員会の会議の前日、プレイフェア2008キャンペーングループ(PlayFair 2008)が新たに発表した報告書「No Medal for the Olympics on Labour Rights(労働者の権利に関してオリンピックに与えるメダルはない)」により、北京オリンピックのライセンスを受けて商品を供給しているいくつかの中国工場での基本的労働権の侵害の事実が明らかになりました。

北京オリンピック:
中国サプライヤーでの権利侵害に対しIOCの行動を求む

中国の工場における深刻な権利侵害について詳細に述べた報告書が発表されました
2007年6月7日、於ブラッセル:ロンドン開催の国際オリンピック委員会の会議の前日、プレイフェア2008キャンペーングループ(PlayFair 2008)が新たに発表した報告書「No medal for the Olympics on labour rights (労働者の権利に関してオリンピックに与えるメダルはない)」により、北京オリンピックのライセンスを受けて商品を供給しているいくつかの中国工場で、成人労働者の賃金が規定の最低賃金の半額であること、12歳の学童が雇用されていること、危険かつ不衛生な環境で1日12時間を週7日働かせられていることなどの基本的労働権の侵害の事実が明らかになりました。結社の自由が禁止されている中国では、労働者には自分たちの権利を守る効果的な手段がありません。

PlayFair 2008 の調査員により、2007年はじめにオリンピックライセンス商品のバッグ、帽子、文具などの製品を生産している4つの工場で、労働者へのインタビューと調査が実施されました。調査対象となったのは、Lekit Stationary Co、Mainland Headwear Holdings Ltd、 Eagle Leather Products、Yue Wing Cheong Light Products。調査報告書は、強制残業、賃金・労働条件に関する外部監査員に対する偽証の指導、不適切な安全衛生環境、月間30日という勤務日数、雇用記録の偽造などの労働権の侵害を明るみにしました。

インタビューを受けたある労働者は次のように言っていました。「納期どおり『オリンピック・バッグ』を仕上げるためにへとへとです。オリンピック商品なんて、もううんざり。」 

報告書にも記載があるとおり、PlayFairは2004年のアテネオリンピックのときから国際オリンピック委員会(IOC)に対しオリンピックサプライチェーン契約に労働者の権利に関する基準を盛り込むよう求めてきました。しかしながら、IOCはそれを拒んできたのです。 

「オリンピックブランドのライセンス認可はIOCや各国オリンピック委員会にとっての重要な収入源であるが、オリンピックのライセンスを受けた工場でこのように重大な国際労働基準違反が起きていることはオリンピック・ムーブメント全体の面目をつぶしている。」とITUC国際労働組合総連合のガイ・ライダー書記長はコメントしました。なお、ITUCはITGLWF国際繊維被服皮革労組同盟とCCCクリーン・クローズ・キャンペーンとともにPlay Fair2008を構成する団体です。

「わずか12歳の子どもたちが1日15時間も働き、労働者は賃金を半分以上ごまかされている。北京オリンピック関連商品の生産が終わるまで皆こんな風に働き続ける。でも、こんなのはスポーツじゃない!IOCは「International Olympic Committee(国際オリンピック委員会)」の頭文字をとったものなどではなく、「Ignoring Outrageous Conditions(常軌を逸した労働条件の無視)」を意味するものではないかと疑問を抱かざるを得ない。」とITGLWF国際繊維被服皮革労組同盟のニール・ケアニー書記長はコメントしました。

IOCはライセンシーに対しさまざまな厳しい条件を課していますが、基本的労働基準の尊重の要件はそこには含まれていません。北京オリンピックのライセンス認可による収入は、2000年のシドニーオリンピックを40%上回る700億ドルと推測されています。放映権、スポンサー契約、チケット販売などもその他の主要な収入源ですが、これ以外のオリンピック商品の販売による利益も相当額が見込まれています。

「PlayFair 2008は、オリンピック関連商品の生産現場で搾取を受けている労働者を守るための有効な仕組みの確立についてIOCの真剣に協議をはじめる用意がいつでもできています。」とCCCクリーン・クローズ・キャンペーン国際書記局のIneke Zeldenrustは言います。「これらの問題に関するIOCの沈黙は長すぎます。IOCに行動を起こさせるため、私たちは積極的にキャンペーンを展開していく決意です。世界的スポーツイベントの主催者として、IOCはその権威をスポーツ用品産業部門全体における基本的労働権の完全な尊重を支持するために行使するべきなのです。」

「オリンピックライセンスの認可工場において、結社の自由等に関する国際的に認められた中核的労働基準をきちんと守らせることを拒否するIOCの態度は、フェアプレーを掲げるオリンピック精神にまったく矛盾します。オリンピック商品の生産に携わる中国人労働者の悲惨な状況は、つまりIOCと中国政府に恥をかかせているのです。」と香港労働組合連盟HKCTUのリー書記長は言います。

PlayFiar 2008は、当該調査報告書を公表する以前に、その一部をIOCローザンヌ本部に送り、再度IOCに対しオリンピックのライセンス認可ならびにサプライ契約において、基本的労働基準がきちんと守られるための効果的な仕組みを採用・実施することを求めました。前回PlayFairとIOCが話し合った際は、IOCはPlay Fairの申入れを受け入れませんでした。その結果、今日までオリンピック関連の生産現場の労働者を搾取から守る効果的な仕組みはまったくできていないのです。

「当時から私たちは、オリンピック・ムーブメントの名前と名声に永続的な傷を残すことになるとIOCに警告していました。しかし残念ながら、IOCは行動は起こさないという選択をしたわけです。このようなことを二度も許すわけにはいきません。」とガイ・ライダー書記長は述べている。

連絡先:
国際労働組合総連合International Trade Union Confederation (ITUC)
www.ituc-csi.org
ph + 32 2 224 0212 or + 32 476 621 018 or +32 475 670 833

国際繊維被服皮革労組同盟International Textile, Leather and Garment Workers' Federation
www.itglwf.org
ph + 32 2 512 2606 or + 32 2 512 2833

クリーン・クローズ・キャンペーンClean Clothes Campaign
www.cleanclothes.org
ph + 31 20 4122785 or + 31 651 280 210

PlayFair 2008 ホームページ: http://www.playfair2008.org/